赤ちゃんの「あたまのかたち」外来

頭のかたちに関してご両親からご相談される患児の中には、稀に、頭蓋骨縫合早期癒合症等の病的頭蓋変形 症が含まれているケースがあります。当外来は脳神経外科医が担当する外来のため、担当医自ら病的頭蓋変形症がないかどうか保険診療で 診断をしたうえで、ヘルメット治療を希望される場合には自費診療でヘルメット治療を開始します。

当院の頭蓋健診について

あたまのかたちのゆがみには、手術治療が必要な病的なゆがみがあります。 実際の手術治療についてよく知っている脳神経外科医が適切な診断を行います。手術治療の必要性がないと判断されたうえで、あたまのかたちについての相談を行います。私たちの外来は、積極的に矯正治療をすすめる外来ではありません。ご家族の不安な気持ちに寄り添うことが目的です。

病的頭蓋変形について

赤ちゃんの頭の骨は大人と異なり、いくつかの骨に分かれています。成人になるにつれて骨と骨がくっつい ていき、強固な頭蓋骨が形成されます。
乳児期には脳が急速に拡大するため、頭蓋骨も脳の成長に合わせて拡大しますが、骨と骨が早期に癒合して 成長を妨げてしまう場合があります。これを頭蓋縫合早期癒合症と呼びます。
早期に適切な診断、治療を受けないと頭蓋骨の正常な発育の障害や、頭や顔の骨の形態異常、手足の異常が起こる可能性があります。

位置的頭蓋変形について

位置的頭蓋変形は子宮内やお産時に頭が変形してしまったり、向き癖などにより圧力によって頭がゆがんでしま うことをさします。
位置的頭蓋変形のゆがみについては形に応じて「斜頭症」「短頭症」「長頭症」の3つに分けられます。

斜頭症

斜頭症(しゃとうしょう)は、後頭部が斜めにゆがんでしまい、左右非対称になっている症状です。
主な原因は、向きぐせや胎児期の子宮内環境による後頭部への圧力とされています。
ゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になってしまうこともあります。そのような場合には、治療が必要になることもあります。

斜頭症

短頭症(絶壁頭)

短頭症(たんとうしょう)は、後頭部が丸くならず平坦になってしまう症状です。
一般的に絶壁とも呼ばれます。
主な原因は、赤ちゃんが仰向けに寝ることで後頭部に圧力がかかることによるものとされています。

短頭症(絶壁頭)

長頭症

長頭症(ちょうとうしょう)は、頭部が通常より縦に長く伸び、後頭部が著しく突き出ている症状です。主な原因は、横向きに寝ることによって側頭部に圧力がかかることとされています。
長頭症は、病気による変形の特徴と似ているため、注意が必要です。

長頭症

頭のゆがみの予防方法

赤ちゃんの頭のゆがみ度合いを大きくしないために家庭でできる予防方法もあります。

寝かせる位置の工夫

寝ている赤ちゃんに同じ方向を向かせないことで、片方の後頭部に圧が長時間かかることなく、変形もしにくくなります。
例えば
・授乳のたびに頭と足の位置を交互に入れ替えて寝かせる
・両親が話しかける方向を変える
まずは、寝ている赤ちゃんの顔の向きを観察してみましょう。

タミータイム

タミータイムは首座りの練習やうつ伏せ練習の方法として用いられますが、頭のゆがみを予防する方法としても 有効です。
うつ伏せになることで頭にかかる圧力を防げます。
分娩施設から自宅に戻ったら、1 日 2.3 回、3〜5 分くらいからはじめてください。 保護者の監視下でおむつ替えの直後や、目が覚めた後に行いましょう。
※ 顔を動かすことのできない時期のうつ伏せ寝は窒息の恐れがありますので注意が必要です。寝かせる際は仰 向け寝にしましょう。

ヘルメット治療

頭のゆがみが重度の場合は自然な形に戻るのが難しく、頭蓋矯正ヘルメットを使用しての治療が必要になります。

ヘルメット治療とは

生後 2 ~ 6 ヶ月がヘルメット治療開始の適齢期。なるべく早くご相談を。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために行われる治療のことです。
赤ちゃんの頭の骨はやわらかいため、日常生活のちょっとしたことでゆがんでしまいます。
こうしたゆがみを改善するために、頭蓋形状矯正ヘルメットをかぶることで、自然な頭の形に頭蓋骨を成長させていく治療が「ヘルメット治療」です。 頭蓋骨がまだやわらかい生後 2 ~ 6 ヶ月の間にこの治療を開始すると、より良い効果が得られるとされています。

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ヘルメット治療で重要なこと

ヘルメット治療では「治療開始後のサポート」が重要になります。
赤ちゃん一人ひとりの成長や治療の進捗を見極め、適切なメンテナンスを施すために、経験豊富な医師とメーカー の協同が不可欠です。メーカーの豊富なノウハウやデータにより、正確な診療を実現しています。

頭蓋矯正ヘルメット

当院ではジャパン・メディカル・カンパニーの日本製ヘルメットを用いてヘルメット治療を行います。
最先端3D プリンタによる、強度と軽さを両立したヘルメットは、赤ちゃん一人ひとりに合わせた完全オーダー メイドで、日本人の骨格や、高温多湿な日本の気候を考えぬいた設計になっています。
19,000 症例を誇るジャパン・メディカル・カンパニーのスタッフが常駐し、安心安全の医療サービスの提供をしております。

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治療費について

ヘルメット治療は自費診療になります。
初回ヘルメット作成料:550,000円(税込、再診料含む)

副作用・リスク

発汗、汗疹(あせも)

ヘルメット治療の流れ

ヘルメット治療の開始から卒業までの流れを見ていきましょう

Step1:レントゲンまたはCTで検査をする

レントゲンまたはCTで検査をし病的な頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症)でないかを確認します。

Step2:ゆがみレベルをスキャン

頭部全体を3Dスキャナー機器を利用して、頭の形状を測定・解析します。 診察では視診・触診から重症度を判定し、診察時の月齢を考慮したうえでヘルメット治療の適応を判断します。

Step3:ヘルメットを作る

3Dスキャナー撮影データをもとに、現在の変形した頭の形から、 矯正後の最終的な頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。

Step4:治療スタート

治療申込時から2週間前後、ヘルメット装着を開始。 基本的には入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を推奨しています(個人によって期間が異なります)。

Step5:定期的な診察

約1か月ごとに診察で頭蓋変形の改善度を確認し、 また頭の成長や矯正された改善度に合わせてヘルメットの微調整を行います。 約6か月の診察期間の中でも3Dスキャナー機器を利用して、頭の形状を測定していきます。

Step6:治療終了

治療終了時期は、矯正された頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、 治療に必要な装着時間の確保の有無などを基に、医師が判断します。

ヘルメット治療効果例

月齢が早く、装着時間も長くつけることができるとかなり改善効果が期待できます。
※開始した月齢や、装着時間、成長の速度によって個人差がございます。

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診療受付時間(赤ちゃんの頭のかたち外来)

<初診日> 月曜日 午前(横佐古)/金曜日 午前(萩原)
<ヘルメット治療開始、通院日> 月曜日 第一、第三 14:00 ~ 15:30

担当医師

横佐古 卓
2010年 徳島大学卒業 2012年 東京女子医科大学東医療センター(現東京女子医科大学付属足立医療センター) 脳神経外科入局 東邦大学医療センター大橋病院 脳神経外科
2014年 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科
2015年 国立成育医療研究センター 脳神経外科
2016年 Montreal Neurological Institute 留学
2019年 国立精神・神経医療研究センター 脳神経外科
2022年より現職
医学博士、日本脳神経外科学会専門医・指導医

悩んでいる親御様へのメッセージ

お子さんの頭のかたちに悩むご家族の方のお手伝いができれば、また当地域で治療希望される方の通院が少しでも楽になれば、という思いで外来を開設させていただきました。
治療を積極的にすすめる外来ではございませんので、お気軽にご相談ください。

赤ちゃんの頭のかたち相談室

ヘルメット治療について相談したい方は、当院が導入しているヘルメット「Qurum Fit」のメーカーが運営する「赤ちゃんの頭のかたち相談室」に無料でご相談いただけます。