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頭痛

頭痛は一次性頭痛・二次性頭痛に大別されます。一次性頭痛は片頭痛や緊張型頭痛・群発頭痛等に代表される体内の様々な機序により起こる頭痛です。二次性頭痛は、甲状腺に代表される代謝内分泌疾患や副鼻腔炎や髄膜炎といった鼻・髄液の感染症、脊椎・脊髄疾患に始まり、命の危険のある頭痛の代表格でもあるくも膜下出血等、原因となる疾患があり、頭痛の改善のために、その治療を必要とするものです。
風邪をひいていないのに日常的に頭痛がする方はいらっしゃいませんか?頭痛は、生活に支障のある疾患として、世界的には2位、日本では4位に位置付けられています。つまり、沢山の患者様が頭痛に悩まされているという事です。一方で、頭痛が原因で病院に受診された事のある方は、30%に満たず、定期通院されている患者さんは、さらに少ないという現状です。
1次性頭痛の中でも特に片頭痛は、20-40歳代女性に多くみられますが、もちろん男性でもいらっしゃり、年々増加傾向です。仕事・家事・レジャーと多種多様な生活の中で、頭痛によりそれらが制限されてはいないでしょうか?
まだまだ日本では、【たかが頭痛】と思われている方が多い印象です。頭痛で仕事を休むというと理解が得られない、市販の鎮痛剤を飲んで仕事・家事を頑張っていた。そして、いよいよ辛くなって、原因が何かあるのではないか?と脳外科に受診される方が多数いらっしゃいます。日本では頭痛による経済損失が問題とされています。上述の様に出勤はしても、能率が上がらないため仕事が手につきません。その経済損失は3600億円とされています。また、家事・育児のストレスや気圧変化等で頭痛を呈し、辛い思いをしながらも、それらに従事されている方もいらっしゃいます。
頭痛は珍しい病気ではありません。ですが、放置すると様々な要素で悪化してしまいます。頭痛患者さんの生活が少しでも良いものにできる様、お手伝いをできれば幸いです。

患者様へ

当院は、頭痛専門医が診察することが可能です。内科診察室では、清水俊彦(日本頭痛学会認定医)、脳神経外科診察室では、新井直幸(日本頭痛学会認定医)により診療します。

当院の頭痛外来の特徴

① 徹底した問診と検査による疾患の診断と治療

頭痛の初期において最も重要な事は問診です。患者さんのお話から得られるヒントで診断に導けたという事も珍しくありません。そのため、初回の患者さんに対する問診時間は平均で30分程かかります。可能な限り、患者さんを待たせない様に心がけています。初診の患者さんは初診枠を設けていますので御協力頂けますと幸いです。
また、頭痛を起こす原因疾患の除外や、治療薬の中には血管を収縮させる作用のあるものもあるため、当院では必ず1度はMRI等を含めた画像検査を勧めています。

② 各専門医による疾患に対する知識・治療の充実

頭痛に関連する疾患として、てんかん・脊髄疾患・脳卒中・脳血管病変等が挙げられます。
当院には、各専門医が常勤しています。上述の様に検査をしたものの判断・診断に困るという可能性が当院は少なく、当院で診断から治療まで完結する事が可能です。

③ 生活習慣病も含めた総合管理を目指します

頭痛が慢性化する原因として、肥満や食生活も大きく関わっています。薬剤の治療のみで満足頂いている場合も多いですが、これらは薬剤のみでは治療しきれません。例えば肥満がリスクとなる睡眠時無呼吸という疾患がありますが、朝の高血圧や断眠、頭痛の原因にもなりますので疾患の治療とともに肥満の是正が必要です。当院では頭痛外来専任の栄養士がおり、患者さんの頭痛改善はもちろん、健康維持にも尽力しています。

頭痛の分類 : 1次性頭痛

片頭痛

片頭痛患者さんは全国で840万人、頭痛全体の8.4%とされ、20-40歳代、女性に多い疾患です。前兆(Aura)のあるものとないもので大別されます。前兆は視覚性前兆に代表される閃輝暗点(両眼のキラキラ・ギザギザしたものが同心円状に広がるもの)のみならず、顔のチクチクした感じや、眩暈等となって現れる事もあります。典型的には、片側、こめかみや側頭部あたりの、ズキズキ(拍動性)した頭痛ですが、必ずしも全てがこれに合致するわけではありません(国際頭痛分類の診断基準を添付します)。片頭痛は、激しい痛みのために、典型的には歩行や階段昇降など日常生活に影響がでてしまう事も少なくありません。この様な強い頭痛が、年1,2回程度であれば、鎮痛剤で経過をみられても問題ありませんが、頻度が増えているのに放置すると、慢性片頭痛(片頭痛が月8日以上、頭痛が月15日以上)や、連日性頭痛(毎日の頭痛)に進展していき、鎮痛剤を飲む頻度が増え、薬剤乱用性頭痛(鎮痛剤の服用頻度が多いと、それが原因で頭痛が起きます)も併発します。
治療には予防薬(頭痛の発生頻度を少なくする)と急性期治療薬(頭痛が起きた時に痛みを軽くする)が用いられます。表に示す様な薬剤を、患者さんの症状、ライフスタイル、既往症を考えながら使用していきます。予防薬は、支障度の高い頭痛が月2回以上ある場合には内服をお勧めしています。認容性(例えば眠くなってしまい日常生活に影響してしまうため、継続できない)があれば最低2ヶ月は継続し、状況に合わせて増量・減量、経過がよければ終了に至ります。急性期治療薬は、内服するタイミングなども重要ですので、処方のみでなく内服タイミングの指導も行っています。
効果判定は適宜行っていますが、手帳(頭痛ダイアリー)の記載をお勧めしています。これを記載頂くと、頭痛がどの時期(季節や日内変動、ストレスの暴露があったかなど)にあったか?や支障度の高い頭痛がどれくらいの頻度であったか?が良くわかりますし、治療前から記載頂いている場合には、治療前後の評価が明瞭です。

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片頭痛予防の新薬について

2021年1月より国内承認されました。片頭痛のメカニズムが解明されるにつれ、片頭痛の発生・増悪にはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(英語の頭文字をとってCGRPと表記されます)が関連している事がわかっています。この新薬は、2022年4月現在で3つの皮下注射剤が販売されており、①CGRP自体を抑える②CGRPが結合する受容体を抑えるという対象の異なる分子標的治療薬です。
片頭痛、もしくは慢性片頭痛に適応があります。患者さん負担が13000-14000円と比較的高価な薬剤です。製品毎に細かな違いはありますが、①片頭痛日数を偽薬と比較し3-5日減少させる②片頭痛日数を30-40%で半分以下にし③頭痛強度も減少させるという効果があります。また、注射部位の痛みや便秘などが少ない割合で副作用としてありますが、大きな副作用がありません。基本的に月1回皮下注射を必要としますが、ものによっては3ヶ月分3本の注射を1回で皮下注射する事もできます。予防薬を飲んでも効果がない、もしくは副作用の影響で継続できない方や、急性期治療薬が副作用で内服できない方が対象になります。
効果としては、最大で人生が変わったというコメントを頂きました。また、頭痛がひどいと併存する頭皮のビリビリ感や、鎮痛剤の乱用も抑えられるという効果があります。
2022年4月現在で発売から1年が経過し、使用経験も増えてきました。ある程度継続して片頭痛治療をされている患者さんの中で、特定の時期(気圧変化の多い時期や寒冷期)のみ頭痛が強くなるという方や、受験シーズンやレジャーの期間など特定の季節やシーンにあわせた使用も行っています。また、本年度より自己注射が可能となり、最初は自分で打つための練習・指導に来院していただく必要がありますが、長期的には患者さんにとって有益であると考えています。
当院では3剤が常時使用できます。注射を希望される方は、基本的に当日は施行していませんが、他院で予防治療を頂いての効果不十分例やあまりにも酷い頭痛の場合などは状況に合わせて注射する事も可能です。その場合には、薬剤の使用に30分程の準備が必要ですのでご了承ください。

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緊張型頭痛

緊張型頭痛は頭痛全体の22.4%と1次性頭痛では最も多い割合を占めます。40-50歳代に多く、こちらも女性が多く見られます。頭頸部の筋肉の影響で起こる頭痛で肩こりがある方などは罹患するリスクがあります。特徴としては、軽度から中等度の頭痛が長ければ1週間程持続します。後頭神経痛という後頭頸部の強い痛みを合併する事があります。
緊張型頭痛も長期間放置すると慢性化する事があります。予防治療やストレッチなど様々な治療がありますので、御相談ください。

群発頭痛

群発頭痛は10万人あたり56-401人と少ない割合で、年齢としては20代、男性に多くみられます。国際頭痛分類では、1次性頭痛の三叉神経・自立神経性頭痛に分類されます。典型的には、持続時間が15-180分、片側眼窩から側頭部周囲の激痛で、眼の充血や浮腫、鼻汁、発汗など多彩な自律神経症状を伴います。現在の診断基準を添付しますが、過去の診断基準には、顔面紅潮なども含まれていました。
この様な辛い、重度の頭痛が、連続して起こる群発期(数週間から数ヶ月)とその間で発作のない期間である寛解期(数ヶ月から数年)があります。10-15%程の患者さんは寛解期がない方もいらっしゃいます。アルコールで誘発されるという特徴があります。重度の激痛が連日の様に出現するため、患者さんの辛さは想像を絶するものがあります。
群発頭痛にも予防治療と急性期治療があります。予防としては、抗痙攣薬やステロイド 等が適応外使用ですが用いられます。急性期治療では、トリプタン製剤というものがあります。一般の片頭痛患者さんは内服で使用されますが、群発頭痛の患者さんは内服では効果がない事が多く、皮下注射が必要です。日に2本使用される場合、乱用になってしまいますので、他の急性期治療である酸素吸入(保険適応)などを組み合わせて使用される場合もあります。

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2次性頭痛

2次性頭痛のうち、約60-70%は脳神経外科医として学んだ事がある、または該当診療科として治療する事のある疾患です。
当院の脳神経外科のホームページに、頭痛を起こす疾患である、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血、三叉神経痛など多岐に記載しています。高血圧性の頭痛や可逆性脳血管攣縮・静脈洞血栓症なども脳神経外科の担当する疾患です。
2次性頭痛の鑑別診断と治療に関しまして、脳神経外科として患者さんに御協力できると考えています。